助け舟となるのが債務整理
債務整理は、借金の返済が困難になった方が、
債務の減額や免除により生活をやり直すための手段です。
返済額の軽減や免除を受けることで、苦しい借金地獄から抜け出すことができます。
専業主婦の場合、働いていないため、独身時代からのローンが残っていたり、
家庭に入ってからもカードローンを使ってしまうと、返済に窮することは少なくありません。
ご主人や家族に相談したり、返済の支援をしてもらえばいいですが、
自分の欲しいモノを買うなど自由にしたいお金を借りた場合は、なかなか相談しづらいでしょう。
とはいえ、いざ返済ができなくなると困ってしまいます。そんなときに助け舟となるのが債務整理なのです。
債務整理には幾つか方法がありますが、任意整理、特定調停、個人再生というのは、
いずれも債務の減額にとどまり、債務がゼロにはなりません。
では、どうするかといえば、利息のカットなどで債務を減額してもらい、
それによって軽減された返済額を毎月返済することになります。
なお、個人再生は定職に就いていないとできないので、専業主婦はできません。
一方、自己破産なら債務はゼロとなります。
車や高価な骨董品などの自己所有財産がある場合には、没収されて競売にかけられますが、
こうした財産がなければ、債務免除により返済義務がなくなって終了できます。
いずれの方法がいいかは、置かれている状況やご自身の考え方にもよります。
ただし、任意整理、特定調停では返済義務が残るため、収入がない専業主婦としては、
その後返済できるのかよく考える必要があるのです。
全国対応。メールでのご相談は、365日 24時間受付中。
専業主婦が債務整理をすると、家族の信用に影響がでるのか?
夫に影響が出るか
専業主婦が借金の返済ができなくなり、債務整理をする場合、
気になるのが自分以外の家族への影響です。
自分は働いておらず、社会の信用が失墜するというリスクはあまり影響しません。
また、自分がお金を借りられなくなっても、夫を中心とした家族が生活費を稼いでくれるので、
生活に大きな支障があるわけでもないでしょう。
ですが、そんな自分のせいで家族がお金を借りられなくなるとすれば、いざというときに困ります。
もっとも、債務整理を行うのはあくまでも、専業主婦本人が契約者となっている債務に限られ、
その他の家族とは基本的に無関係です。
債務整理を行った記録も、専業主婦本人のみ信用情報登録機関に登録され、
他の家族に債務整理の事実が記録されるわけではないのです。
貸金業者や金融機関でお金を借りる際は、信用情報登録機関に照会をかけます。
しかし、夫の履歴に妻の履歴は影響しないため、
妻の債務整理が原因でお金が借りられなくなることは通常ありません。
ただし、転職や賃貸住宅を借りる際など、
採用側の事情や大家の考え方で家族の信用情報が調査されるケースがまれにあります。
こうした場合は、多少なりとも夫の信用に影響が加わる場合があります。
子供に影響が出るか
子供の場合も夫と同じで、子供がすでに成人している場合、母親が債務整理をしても、
子供がお金を借りられなくなるという心配は原則としてありません。
ただし、厳格な仕事に就くなど職場によっては、家族の信用調査が厳しいところもあり、
就職や転職に多少影響することもありますが、かなりのレアケースです。
一方、未成年の場合はお金を借りるといったこともないので、信用にはかかわりません。
ただし、子供がいじめにあったりしないよう、
債務整理の事実が人に知られないよう注意する必要があります。
任意整理は弁護士や債権者である貸金業者等には守秘義務があるため、当事者から漏れることはありません。
また、特定調停は非公開で行われ、自己破産も裁判所の掲示板や官報に掲載されるものの、
一般人の目に増えることは稀です。
もっとも気を付けたいのが、うっかり自分で話してしまうことです。
仲のいい友達だからと悩みを相談したり、誰も見ていないと思い込んで
ブログ等に経験談を書くのは避けたほうがいいでしょう。
義理の親や実家の家族に影響が出るか
義理の親や実家の親、兄弟姉妹等についても、基本的にその人の信用に影響が出ることはありません。
債務整理はあくまでも本人の問題であり、本人の責任において行われるためです。
専業主婦が債務整理をすると夫に影響があるのか?
契約者はあなた本人です
専業主婦でも、借金の返済に苦しんでいる人は少なくありません。
独身時代、働いていたときに借りたカードローンやショッピングローンの返済が残っており、
結婚により収入がなくなって返済が難しくなったケースが1つです。
また、貸金業法で総量規制が導入される前までは、収入がなくても借りられた時代がありました。
返済能力以上に借りてしまい、返せずに困っている方もいます。
ご主人に返済の援助を頼めればいいですが、
夫婦の間でも自分の借金について打ち明けられない場合があります。
その為、借金の悩みを抱え込んだまま状況が悪化するケースが少なくありません。
どうしても返済が難しくなった場合、リセットしてやり直す手段としては債務整理があります。
借金を減額する手続きである任意整理や特定調停のほか、
債務全額の免除が受けられる自己破産があります。
この点、専業主婦が債務整理をすると、夫の信用にも傷がつくかもしれないと、手続きを躊躇される方がいます。
ですが、借入の契約者は専業主婦自身であり、
夫ではありませんから、基本的に影響はありません。
ただし、そのローンが保証人を必要とするもので、夫が保証人となっていた場合、
専業主婦が債務整理することで、夫に請求がいく可能性があります。
保証人となっていなければ、専業主婦が払えないからといって、
契約上、夫が返済する義務はありません。
マイホームの名義がある場合は注意が必要
この点、専業主婦の立場で住宅ローンを組んでいることはないと思います。
ですが、貯金したお金で頭金を出したり、親からの贈与を受けたお金を拠出し、
マイホームの名義が夫と共有されているケースがあります。
この場合、自己破産をすると、マイホームの自己名義分が競売にかけられる虞があります。
万が一、競売にかけられると落札者と夫との共有になり、不便が生じます。
そのため、一般的には競売ではなく任意売却で、換金することが多くなります。
こうなると、マイホームを失うことになり、夫に迷惑をかけることが考えられます。
信用力を失ってできなくなること
債務整理をすると、信用情報登録機関に債務整理した事実が登録されます。
これについても、その本人だけの話で、その夫にまで影響が及ぶことはありません。
債務整理の事実が登録されると、その後、5年から7年程度の間、専業主婦はお金の借入ができなくなります。
クレジットカードも作れません。
お金に関わることの信用力は失ってしまうため、たとえば、夫がお金の借入をする場合に
保証人が必要といったケースでは、保証人になることができなくなります。
専業主婦でも債務整理を依頼することは出来るのか?
収入がなくてもできる手続きはある
債務整理とは、借金の返済が困難になった場合に生活の立て直しを図り、
人生をリスタートする救済手段として、一定の手続きのもと、債務の減額や免除が認められるものです。
専業主婦は働いておらず、収入がないことから、
債務整理ができないと考えている人もいるかもしれません。
ですが、借金の返済に困っている人は、専業主婦に限らず、他の人でも同様です。
リストラや失業で職を失うなどして収入がなくなり、
返済に困って債務整理を行うケースも少なくありません。
そのため、収入がないからとか、専業主婦だから債務整理ができないというわけではないのです。
ただし、定職に就いていることが要件とされる手続きについては除かれます。
専業主婦の選択肢としては、任意整理、特定調停、自己破産が考えられます。
この点、任意整理と特定調停は債務の減額を債権者と話し合いで合意し、
減額された債務を3年程度で分割返済していくことが必要です。
そのため、このための資金がなければなりません。
収入がない方でも、たとえば、家族の支援を受けて返せる見込みがあるなら利用が可能です。
一方、自己破産は全ての債務が免除されるものです。
その代わり、自己名義の不動産や車、
高価な宝飾品等を所有している場合には、それが競売にかけられることになります。
財産と引き換えに、債務が免除されます。
もっとも、何も自己名義の資産がないという場合には、
免除が認められることで借金から解放されます。
費用の捻出
債務整理をするには、一定の費用が必要です。
特定調停や自己破産では、安価とはいえ、裁判所に支払う手数料があります。
もうした手続きや任意整理を、弁護士等の専門家に依頼する場合には、報酬などの支払も必要です。
お金がない場合には、弁護士等が分割払いに応じてくれるケースがあります。
その他にも、日本司法支援センターという公的機関では、経済的な余裕がない方のために、
弁護士や司法書士費用を立て替え払いしてくれる扶助制度が設けられています。
費用については、配偶者などの家族の支援を受けるほか、どうしても無理な場合には、
こうした支援制度の利用を検討したり、手続きを依頼する専門家に相談してください。
個人再生はできない
専業主婦でも債務整理は可能ですが、できない手続きもあります。それが、個人再生です。
個人再生は、将来的にも継続的な収入が見込める人のみが利用でき、
再生のための返済計画を立てて、減額された債務を3年から5年で返済せねばなりません。
そのため、定職に就いていないと利用できないので注意しましょう。