家族に知られず行うなら任意整理
収入がない専業主婦といえども、欲しいモノもあれば、ママ友の付き合いもあります。
学生時代の友人の結婚式にだって、
お祝いをもってお洒落をして駆けつけなければなりません。
収入がないといっても、お金の出費に大きな違いはないわけです。
そこで、ご主人には内緒で、
カードローン等でお金を借りているという方も多いのではないでしょうか。
家計を管理する立場にありますし、主人のおこづかいを厳しく制限している分、
お金が欲しいとは言いづらいものです。
ましてや、借金の返済に困っているなんて、
ご主人に知られるのはもちろん、義理の両親に知られては大変です。
そこで、債務整理をするにも誰にも知られずに行いたいところです。
そのため、専業主婦が債務整理をするなら任意整理が選択肢として考えられます。
任意整理は裁判所を利用せずに行えるので、家族に知られず行うことが可能です。
もっとも、専業主婦が任意整理をするうえでは、幾つかのポイントを確認しておきましょう。
特に重要なポイントは、任意整理は債務を免除する手段ではないため、
債務は減額されても返済義務は残ることです。
そのため、任意整理後の返済が滞らないよう、返済資金を用意しなければなりません。
食費や光熱費を節約したり、家計管理を上手くやりくりするとか、
自分の両親や兄弟姉妹などに上手く理由をつけてお金をかりるなどするといいでしょう。
私の経験上、お子さんの教育資金がかかると相談すれば、
可愛い孫のため、お金を融通してもらえるかもしれません。
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2度目の債務整理は出来るのか?
債務整理後に起こりうること
債務整理にもいくつか方法があります。
このうち個人再生は継続的な勤労収入があることが利用条件であるため、
専業主婦が行える債務整理としては、任意整理、特定調停、自己破産があります。
このうち、自己破産は債務の全額免除が得られますが、
任意整理と特定調停では3年程度の期間で減額された債務を返済しなければなりません。
この返済が滞ると、せっかく減額された債務についても、
再び請求を受けたり、財産に強制執行を受ける虞があります。
また、これらの債務整理を行うと、信用情報登録機関という金融機関や
貸金業者が審査の際に信用力を照会する機関に債務整理の事実が登録されます。
一般的に5年から10年程度は登録が残るため、その間、新規の借り入れやクレジットカードの作成ができません。
一方、この期間を超えれば、再びローンを借りることも可能となるため、
無計画に借りてしまうと再び借金の返済に困る人も出ることが考えられます。
2度目の債務整理はできるのか
では、一度債務整理の経験がある専業主婦が、
2度目の債務整理ができるかといえば、どの手続きをとるかによっても異なります。
このうち、最も強力な手段であり全債務の免除が受けられる自己破産では、
過去7年以内に免責を受けたことがある場合、原則として免責が受けられません。
ただし、具体的な事情を考慮して、自己破産以外に救済できないと判断される場合には、
1度目の自己破産による免責から7年以内であっても、認めてもらえることもあります。
自己破産ができない場合、年数などの制限がない専業主婦ができる手続きとしては、
簡易裁判所で行われる特定調停と、任意で債権者と話し合う任意整理が考えられます。
このうち特定調停は、職業裁判官ではなく調停委員が間に入って、債権者と話し合う手続きです。
債権者が2度目であることを警戒したり、難色を示して合意をしてくれないこともあるでしょう。
また、調停委員はあくまでも両者にとって中立の立場にあり、必ずしも借金問題に詳しいわけではありません。
そのため、2度目の場合には、債務者に有利に調整をしてくれるかの期待は必ずしも持てません。
これに対して、任意整理を行う場合、司法書士や弁護士に依頼するのが基本です。
司法書士や弁護士はあなたの代理人として、依頼者の利益になるよう交渉を行う立場にあります。
そのため、2度目であっても債権者を説得して、債務減額の合意を取り付けてくれる可能性が高いのです。
賃貸契約の更新は出来るのか?
賃貸契約は基本的に影響されない
専業主婦が任意整理したあと、そのまま賃貸住宅に住み続けることができるのかと、心配されるケースがあります。
もちろん、家賃の不払いが続けば追い出される可能性はありますが、専業主婦の場合、
生計を維持している夫がいるので、通常、家賃の支払いが滞ることはありません。
そのため、家賃さえ払っていれば、住み続けることが可能です。
では、賃貸契約の更新がきた場合はどうでしょうか。
家族に任意整理をした者が出ると、更新を拒否されるのではないかと不安になるかもしれません。
ですが、専業主婦が賃貸契約の契約者になっていない限り、更新が拒否されることはありません。
また、専業主婦が賃貸契約の契約者になっている場合でも、
通常、任意整理をしたことを理由に更新が拒否されることはありません。
任意整理をすると信用情報登録機関にその事実が登録され、
新規の借入やクレジットカードの作成は5年から7年ほどできなくなります。
そして住まいを借りるための賃貸契約には直接影響しないためです。
ただし、更新にあたり、更新料の支払いを求められる場合に更新料が支払えなかったり、
家賃の滞納などをすると、更新ができない虞がありますので注意しましょう。
クレジットカードで家賃を支払っている場合
家賃の支払い方法には、大家や不動産会社に直接持参する方法、銀行口座からの引き落としや
振込みによる方法のほか、最近ではクレジットカードを利用するケースもあります。
クレジットカードを利用する場合の多くは、保証人を立てない代わりに、
保証料を支払って保証会社が保証をしているケースが多く見られます。
専業主婦が賃貸契約の契約者かつクレジットカードの名義人になっており、
毎月クレジットカードで家賃を払っていた場合は任意整理で、クレジットカードの利用が出来ません。
新たに保証会社から保証を受けることもできなくなります。
その為、賃貸契約の更新をするには、保証人を立てることと、
家賃の支払い方法をクレジットカード以外の方法に変更してもらうことが必要です。
保証人を立てられない場合や、保証人の信用力がなく
入居審査が通らない場合には、更新ができなくなる可能性があります。
一方、クレジットカード払いをしてる場合でも、賃貸契約者およびクレジットカードの名義人が
夫や家族であれば、専業主婦が任意整理をしてもクレジットカード払いは可能です。
その場合は、問題なく賃貸契約の更新も可能です。
専門家に支払う報酬は高いのか?
裁判所を通さない任意整理
専業主婦にとって任意整理は、誰にも知られることなく債務整理ができる優れた方法です。
任意整理は債務整理の数ある手法の中でも最も穏やかな解決法と言えるでしょう。
任意整理はほかの債務整理とは違い、裁判所を通さずに行うものです。
そのため官報に名前が記載されることもなく、
会社や家族に知られずに債務整理ができる方法と言って良いでしょう。
任意整理は弁護士と債権者のあいだの話し合いにより、
免責分の金額や返済方法が決まっていきますので、弁護士の実績や手腕による部分も大きな債務整理です。
任意整理にかかる費用とは
任意整理は弁護士や司法書士を通じて債権者に働きかける債務整理ですから、その分費用がかかります。
多くの場合、手付金、基本報酬、減額報酬、過払い報酬、という4つの費用を支払うことになります。
この際の手付金は10000円から20000円というところが多く、
基本報酬は20000円から30000円ほどかかるケースが多いようです。
また負債を免責させた分に応じて支払うのが減額報酬ですが、相場は5%から10%程度になっています。
そして最後に過払い金が発生していて取り戻した場合には、総額の20%を支払うのが相場になっています。
これらの費用の中で、手付金や基本報酬がゼロ円という事務所もあります。
成功報酬のみというケースもありますし、減額割合もさまざまですので、
自分に最適な弁護士を選ぶのが良いでしょう。
任意整理の報酬は高いのか
一番大事なことは任意整理の報酬を高いとみるかどうかです。
確かに任意整理には費用がかかります。
例えば手付金1万円、基本報酬2万円、成功報酬が10%の弁護士事務所で、
借金が100万円から40万円に減額された場合には、1万+2万+(100万ー40万)×10%=9万円となります。
60万円もの借り入れが免責されたのですから、9万円の出費はそれほど高くないと言えるでしょう。
任意整理のメリット
任意整理には多くのメリットがあります。
弁護士と契約をした途端に激しい催促はなくなり、債権者は債務者に直接連絡を取ることが禁じられます。
静かな生活を再び手に入れることができるので、こうしたメリットの大きさを挙げる方は大変多いのです。
債務整理は自分では行き詰まりどうすることもできなくなった借金を
弁護士の力を借りて見直すことで、生活の再建ができる、大変債務者に寄り添った制度と言えるでしょう。